【短編】 曇り空
母さんは若くして俺を生んで
一人で俺を育てた

シングルマザーなんて今時
珍しくもなんともない

だから
俺は親父の事は知らないし
できる事なら関りを感じるものは全部処分して欲しかった


だけど


洗面所の鏡に写る俺の瞳は

「灰色」


それは
母の瞳の色とは異なり
紛れもなく
父のものだ




俺は
この「灰色」が嫌いだ



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