【短編】 曇り空
その人は
ゆっくり振り返った


透き通るような瞳をして
少女のように愛らしく
美しい・・・


そして
悲しげにでもどこか優しく
俺に微笑みかける


「こんなところで寝てたら風邪ひくぞ?」


顔に似合わない荒っぽい言葉遣い
それすら
なんでこんなに愛おしく感じるんだろう


「どうしてここに?」

「・・・懺悔をしに。」

苦笑いをして先生はそっと俺に歩みよる

「マリア様。

私はある禁忌を犯します・・・

教師でありながら一人の生徒を愛してしまった
罪深き私を・・・・

お許しください。」


そう言って
先生はそっと俺に口付けた


そして
俺は先生の香りに包まれる

聖母が見つめるなか
俺は先生を力いっぱい抱きしめた

そして
奪い取るように先生の唇をふさいだ




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