短編集
マナブくんのこと
 彼との出会いは、中一の春だった。
 
 みんな初めて出会う彼に、すこし戸惑っていたのだけれど、そのころの彼は、とてもやさしくて、不安はすぐに吹き飛んだ。わたしも彼のやさしさや、それでいてはっきりした性格に親しみを覚えるようになった。

 親しみを覚える、なんて言い方は、大人になった今だからできることで、そのころはもっと単純な言葉を胸に抱いていた。
 わたしは、彼が好きだった。
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