ナンセンス!
お出迎え

1

「 お荷物、お持ちします 」
男は、僕の通学カバンを持ってくれた。
「 参りましょう 」
駅の方へ歩き始める、男。
さて、コイツは一体、ナニ者だ・・・?
見たところ、僕と同じ学校の制服を着ている。 だとすれば、かなり頭は、いいハズ・・・
しかし、どう見てもヤーさんだ。 インテリヤクザ、といったところだ。
更に、僕はどうやら、この男に迎えに来てもらっているらしい。 しかも母の話しでは、
毎朝のようだ。
( さっきコイツ・・ オレの事を、姉御、と言ってたぞ? )
僕は、男の正体も、自分の正体も分からない。 最悪だ。 もう、好きにしてくれ。

男の後をついて歩いていくと、駅前の公園に差し掛かった。
公園の公衆トイレの影から、一人の男が、ゆらりと出て来る。
コイツも同じく、武蔵野明陵の制服を着ていた。 ごっつい体格で、髪は短め。 眉間にシワを寄せた目は細く、異様な威圧感を感じさせる。
( また物騒な雰囲気の男が、出て来たぞ・・・? )
男は言った。
「 ・・よう、マサ。 怪しい人影は、無かったか? 」
この迎えに来ていた男は、マサって言うのか。
マサは、新たに出て来たデカイ男に答えた。
「 今のところは、な。 車はどうした? 電車じゃ、危なかしっくていかん 」
「 サブが回して来るはずだ。 もうそろそろだろう 」
ねえ、君たち。 ナニが危ないのかな? 僕にも、教えてくれない? 君らの物騒な顔立ちと、何か関係があるのかな・・・?
マジで、そう聞きたかったが、とりあえずヤメておいた。
マサが、デカ男に聞いた。
「 龍二。 常盤学院の連中は、ヤル気なのか? 」
あのデカイ男は、龍二と言う名前か。
マサに、龍二・・・ どっかで聞いた事があるんだが・・・? 思い出せん。 Vシネマ辺りに出て来たヤクザだったっけ?
龍二が答える。
「 海南高校の連中も浜島二高も、仙道寺の神岡が怖ええんだよ。 腰抜け連中とは、組まねえ方がいい 」
・・・常盤・海南・浜二って、この辺じゃ、思っきし不良高なんだケド・・・? その中でも、仙道寺高校と言ったら、あんた・・ 別名、ヤクザ養成高じゃん。 そんな、素敵な連中と、お友だちなの? 君ら。 僕、あっちに行ってて、いい?
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