ナンセンス!

2

校庭へと入る。
う~ん、さすが名門。 僕の通っていた学校とは、比べものにならないほどキレイだ。
体育館と武道場があり、その向こうの建物の入り口には、『 プール 』とある。 屋内プール完備とは、贅沢な。 ガラスが曇っている情況から見て、温水なのだろう。
至れり尽せりだな。
・・・さて、困った。 教室が分からんぞ?
制服の学年章には、3―Aとあるが、どこだ?
迷っていると、前方の校舎から、一人の女生徒が出て来た。 僕に近付いて来る。
コイツは、知ってるぞ・・・! 鬼龍会 次長の、朝倉 美智子だ・・・!
星野の右腕、と言われる才女だ。 親父さんが都議会議員で、母親は有名な教育評論家。
その娘である美智子は、同人誌の世界では名が知られており、学生集会で演説している姿を何度か見た事がある。
身長は、165センチくらい。 左に分けた髪をヘアピンで留め、メガネを掛けている。
朝倉は、僕の所へ来ると、お辞儀をして言った。
「 おはようございます、会頭。 朝から、一騒動あったようですね・・・ 鬼頭から連絡がありました 」
ここで、ナニか言わねばなるまい。
僕は、動揺を悟られないように、落ち着いた口調で答えた。
「 連中も必死のようだ。 気にするな・・・ 」
「 はい 」
朝倉が、当たり前の言葉を待っていたかのように、躊躇なく答える。 さすが、朝倉。 キモが座ってんな、お前。
朝倉が、続けた。
「 校内は、安全かと思いますが・・・ 念の為、私が、教室までお供させて頂きます 」
おう。 そうして下さい。 是非、お願いします。
朝倉は、『 こちらへ・・・ 』というような目配りをすると、先に立って歩き出した。
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