ナンセンス!
「 痛っ・・ てえェ~・・・! 」
衝撃で、目隠しが取れた。
目の前にあった大きな鏡に、大股開きをしている全裸の星野の姿が映っている。 その股間のズーム映像が、GPS画像のように、僕の目に飛び込んで来た。
「 ・・・! 」
見てはいけない、秘密の花園と禁断の秘部を、凝視してしまった僕。
「 うがっ・・ ごっ・・ ごわっ・・・! 」
声にならない、うめき声を上げる。
一瞬、気が遠くなりかけた。
かすみ・・・! これは事故だ。 不慮の事故なんだ・・・!
やがて、湯気で曇り、鏡は、真っ白になった。 もう、何も見えない。
( そうか、最初から、待てば良かったんだ・・・ )
あとの祭りだ。
母は、熱い風呂が大好きだ。 この湯加減も、母のせいである。 今日のは、また、特に熱い。 いい加減にせんと、貧血で倒れても知らんからな・・・!
しかし、先程の映像は、しっかりと僕の脳内CPUにデジタル保存されており、それがゴーストのように、脳裏を横切る。
( くそう・・ とんでもないモノを、見ちまった・・・! 星野に、申し訳ないな )
・・・黙っていよう。
話したら、殺されるかもしれん。 いや、必ず、抹殺される・・・!
でも、僕に責任がある訳ではない。 大体、フロに入れと命令した、アッチのせいで、こんな事態になったんだ。 しかも、目隠しという、オプション付きで・・・
星野が悪い。 僕のせいじゃない。
再び、目隠しをしようとしたら、脱衣所に置いてある携帯の着メロが鳴った。
見ると、星野からのメールである。
『 すまん。 フロ場で、ころんで、ナニを殴打した 』
ナニやっとるんだ、てめえもっ!
僕の体だぞ。 大切に扱わんか! しかも、ナニを殴打しただとォ~? 竿か、玉か、ドッチだ? 詳しく報告せんか。
すぐに、追伸が入った。
『 物凄く痛いが、大丈夫なのか? これ。 苦しい 』
・・・玉か。
やってもうたな、星野。 さぞや、究極の苦しみであろう。 分かるぞ、分かるぞ~? フツーでは、味わえん、貴重な体験をしとるようだな。 その苦しみは、あと数分続く。 今頃、玉を抱えて、唸っておるのだろう。
・・って、おいっ! 触っとるな? お前っ! かすみだって、触ったコトないんだぞっ!ああ・・ 僕の純潔を・・・! ナンちゅうコト、してくれとんじゃ、お前!
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