ナンセンス!

3

着替えを済ませると、玄関先に、例の怪しげなクラウンが止まった。
母が叫ぶ。
「 み、みちるぅ~! ヤクザが来た、ヤ・・ ヤクザがっ・・・! 」
落ち着け! ヤクザじゃねえ! デカイ声、出すんじゃねえよ。 また意味も無く、ご近所が怯えるだろ?
( ったく、玄関先まで来やがって・・・! )
外へ出ると、マサと龍二が出迎えに立っていた。
・・おおうっ! こっ、怖ええ~・・・!
無言で、朝日の中に、突っ立ってるんじゃねえよ、お前ら。 ブキミだろうが!
隣の家の、勝手口の窓から、おばさんが顔を半分だけ出し、じい~っと、こちらを見ている。恐らく、おばさんは、完璧に勘違いをしていると思われる。 今日中には、恐るべき、主婦井戸端ネットワークを通じ、向こう三軒両隣を中心とした、半径200メートル圏内のご家庭に、事実とは異なる、捏造された情報が配信される事だろう。 もう、知らん・・・! どうにでもしてくれ。
「 今朝は、二人とも同乗か? あまり、手を掛けるな。 登校くらい、自分で・・・ 」
僕の言葉を制し、マサが、マジな顔をして言った。
「 姉御。 ちい~と、厄介な事が起きまして・・・ 話しは、車の中で・・・ 」
何か、ヤバそうな雰囲気・・・!
車は、僕を乗せ、走り出した。
< 57 / 187 >

この作品をシェア

pagetop