ナンセンス!

2

街を疾走する、怪しげな型落ちクラウン。
徐行も一旦停止も、全て無視である。
「 もっと飛ばせ、サブ! 根性、見せんかいっ! 」
あおる、僕。
「 か・・ 会頭おォ~ッ・・! 怖ええっスぅ~! おしっこ、モレそうですぅ~・・! 」
「 そこ、入れっ! その道だ! 」
後輪をスリップさせながら、細い路地に入る。
「 ブレーキ、踏むなァッ! 次、左折! 」
キャキャキャキャキャッ、と鳴るタイヤ。
ホイールキャップが外れ、騒がしい音と共に、歩道の側溝へとコロがって行く。
「 会頭~ッ! こ、ここ・・ 一方通行っスううぅ~ッ!! 」
「 てめえ、元々、無免だろうが! 失うものは、ナニも無い。 恐れるなあッ! 」
「 す・・ すっげえ説得力、あるっスううぅ~ッ! 」
僕の隣に座っているマサは、サブが座っている運転席シートの後ろに足を当て、万が一の衝撃に備えている。
助手席の龍二は、窓の上部にある取っ手を掴み、両足を踏ん張っていた。
「 急げえッ! 連中が、体勢を整える前に行くんだ! サブうーッ! 」
「 わ、分かってまあァーす・・! アクセル、ベタ踏みっスうぅーッ!! ・・かっ・・? 会頭ぉ~? あ・・ 赤信号っすうぅ~! い・・ 行けと・・? 」
「 ナンの為のヤンキーホーンじゃ、てめえェッ! 鳴らさんか! 連打せええーッ! 」
「 ・・イ・・ 行っ・・きまあああァァァァ~~すッ!! 」
< ファァァァァァァァァァァァァァ~~~~~~~~~~~ンンンン~~~~~! >
「 見ろ、サブ! みんな、避けてくれるよっ? あ、アッチで、ぶつかってる! 」
「 ・・・会頭・・・ ちょびっと・・ 出ちゃいました・・・・ 」
< 67 / 187 >

この作品をシェア

pagetop