ナンセンス!

3

鳩が数羽、公園入り口脇に立っているモニュメントの上で、クッ、クッ、と鳴いている。
男が二人、公園の入り口に近付いて来た。 人影に気付き、パタパタッと鳩は、飛び立って行く。
「 武蔵野は、来るんだろうな? 」
茶髪の男が言った。
傍らにいた、細目の男が答える。
「 来ますよ、阿南さん・・・ 」
少し笑うと、細目の男は続けた。
「 しかも人質のおかげで、オレらに、ボコにされにね・・・! 」
阿南と呼ばれた男が言った。
「 あの、マサめ・・・! こないだの借りを、倍にして返してやるぜ 」
首の後ろのシップシートをさすりながら、男は言うと、細目の男に尋ねた。
「 どういう布陣にするつもりだ? 武村 」
「 斉木たちが、アッチの森の中で兵隊を集めてます。 ざっと、30人は集めてますので、タイマンが始まる直前、ヤツらの人数を確認した上で投入します 」
ニヤリと笑うと、阿南と言う男は言った。
「 人質を取られて、手も足も出ない上に、多勢に無勢か・・・! 好き勝手出来るな? 武村よ 」
振られた、武村と言う男が答える。
「 今日で、あの鬼龍会も解散ですよ。 我々は、ヤツらの首を手土産に、仙道寺入りですわ 」
「 ふふ・・・! 鬼龍会の首なら、高く評価してくれるだろうよ。 楽しみな事だ 」
「 会頭の星川・・・ どうします? 仙道寺の神岡さんも、気に入っている様子ですが・・・? 」
「 少しくらい、つまみ食いしたって、分かりゃしねえって。 お前にも、ヤラせてやるよ・・・! 」
「 あの、貴高い星川を・・ ですか? へっ、楽しみですねえぇ~・・・! 」
「 へっへっへ・・・! 」
「 ふっふっふ・・・! 」
次の瞬間、猛スピードで走って来た怪しげクラウンが、二人の目の前にタイヤを
きしませ、不自然な形で止まった。
「 へっへ・・お・・・? 」
後部座席両側、助手席、と、一斉にドアが開き、数人が下車したかと思うと、二人の方へ走り寄って来た。
「 何だ? 兵隊共は向こうだ。 アッチに斉木たちが・・ 」
そう言って、森の方を指差した武村の頭にイキナリ、鉄パイプが炸裂する。 指を差したまま、グラッと来た武村に、強烈なアッパー・スイング。
アゴを空に向け、しばらく固まっていたが、やがて武村は、ゆっくり後ろ向きに倒れ込んだ。
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