治験
電話口の遠藤さんが、ますます言葉少なになる。

「どういう事だよ。これってあんたんとこの薬品に問題あるんじゃないのか?」

『申し訳ありません!』

遠藤さんの声が震えている。

『とにかく治験薬の服用は直ちに中止なさって下さい。もう一度確認致しますが、薬の服用は昨夜の一度だけ、二錠お飲みになっただけですね?』

「ああ…」

やけに念を押してくる。

あの薬、そんなに危険な薬だったのか…?

俺の中で猜疑心と不安が首をもたげた。

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