鬼守の巫女

「行ってらっしゃいませ」

そう言って運転手の男が車のドアを開き、深々と頭を下げる。

「い、行ってきます」

男に声を掛け、鞄を手にしたまま車から降りると、辺りには忙しそうに登校する生徒達の姿が見えた。

生徒達が私の姿を捉えたその瞬間、辺りに一瞬の静寂が広がった。

皆、一様に硬い表情のまま、私と木住野さんの様子を窺っている。

「さ、行きましょうか」

木住野さんはそう言って、生徒達の視線を気にする様子も無く、スタスタと校舎に向かって歩いて行ってしまう。

居心地の悪さを感じながら彼の後を追って行くと、甲高い予鈴の音が辺りに鳴り響いた。
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