鬼守の巫女

「いきなりこんな所に連れて来られて、さぞかしご不安だと思います。しかし信じて下さい。私達は貴女を傷付けるつもりも、悲しませるつもりもありません。ただこの国と……そして大切な人達を守りたいのです」

彼女は真剣な顔をしてそう言うと、強く私の手を握った。

その白く温かな手の温もりを感じたまま、静かに俯く。

……これからどうしたらいいのか。

……お父さんにはもう会えないのか。

……学校は?友達は?

……見たかったテレビや、借りたかったCD。

少女の手の温もりを感じたまま、色んな考えが頭を巡っていた。
< 66 / 912 >

この作品をシェア

pagetop