夜空に咲く僕たちの願い


この人が一瞬で誰なのか分かった。

きっと…雅也くんの元カノだ。



「え…雅也くん…?」




「私…安藤百々花(あんどう ももか)って言うんです。雅也の彼女なんですが…」




「はぁ…」




「昨日いきなり別れを告げられて納得できなくて…雅也は今どこにいますか?」




今にも泣きそうな声で言う彼女。
きっと「中にいるよ」なんて言ったらずっと待ち続けるんだろうな。
それは彼女にとって酷なことだ。
もし雅也くんと瑠花が一緒に歩いてきたらショックを受けるのは彼女だ。
俺もショックだけれど…一番彼女が可哀想な気がする。




やっぱり…このままじゃダメだ。
俺が変わらない限り何も変わらない。

その通りだと思う。



だから…俺は…





「渓斗…俺迎えに行ってくるよ。ここで待ってて」





これだけ残し、俺は駆け出した。
オレンジ色に染まるグラウンドを走っていく。


瑠花のもとに…




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