夜空に咲く僕たちの願い


キコ、キコ…と錆びた鉄から音が出る。
その音が何だか寂しそうだった。
一人は寂しいと訴えているように聞こえた。
誰かに気付いて欲しいと孤独を教えてくれているようだった。

でも誰だって寂しいんだ。
誰だって孤独と感じるんだ。
生まれたとき、死ぬとき、世界中のものは一人だから。
だけど生まれたとき母親に抱かれた瞬間から人間は一人ではない。
死ぬとき誰かに見送られて死んでいくのは本当の一人ではない。


だから大丈夫さ。
なんて空に浮かぶ月を見ながら笑ってみせた。



その時、ある一人の人間がやってきた。
誰か確認しなくても分かるよ。やっと来たね。
待っていたんだ。




「…俊介?何よ、こんなところに呼び出して」




瑠花は俺の呼び出しに慌てたのか、部屋着姿だった。
モコモコのパーカーとショートパンツ。
それにポニーテールにする髪の毛。
普段見ることができない姿に胸がとくんと踊った。



今日…やけに可愛くないか?




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