三階小児病棟・FINAL(5歳の初恋)
―初恋―
手術当日。
まだ、時間が有ったのでまー君はお母さんと売店に行った。
売店まで走って行くまー君を見て、男の人が「元気だな!」といった。
「元気じゃない! 元気ならこんな所にいないもん」
そう答えると、売店に入って行った。
病室に戻ると、そこには、“花子”の姿があった。
しかし、いつもの“花子”とは違っていた。
今日はお休みなので、私服姿で髪も下ろしていたのだ。
まー君はほんの少しだけ“花子”のを見て固まった。
ほんの少しだけ笑みを浮かべると、自分のベッドに戻った。
花子は後から来た母親と廊下で立ち話しをした。
暫くすると、まー君が四つ折にした手紙を持ってきた。
花子は手紙を受け取ると、読もうとした。
「今読んじゃだめ!」
そこには真っ赤な顔したまー君が居た。
まー君が書いた、生まれて初めてのラブレターである。
花子はまー君の言う通り、手紙をハンドバッグにしまうと、母親に会釈をして病院を後にした。