誘拐 ―おまえに決めた―
その言葉に、一瞬動きを止めたリクは
「だよなー。俺も願掛けとか信じてない」
祈るように手を交差に組み、そう答えた。シニカルに。
恐るべき身のかわりの早さ。
さっきの冒険ワクワク少年リクはどこへ行った。
「どっち」
言ってることがいい加減過ぎて、笑ってしまう。
「いいね。そういう考え方。嫌いじゃない」
「じゃないと、誘拐なんてしないでしょ?」
皮肉たっぷりに私は言う。
「そりゃそうだ」
そうだ、と言ったのに不服そうにリクは答える。