誘拐 ―おまえに決めた―

「おい、トイチ、聞いてんのか」

声を荒げたリクを無視して、トイチは高揚した口調で話し続ける。



「あ、でもこれからマイちゃんを殺してまた汚れるしな。リクにも死んでもらうから無理か」

トイチが私に銃を向け構える。



「!」



「危ない!」

目の前が暗くなる。

リクは私の前に立ちはだかった。


トイチは銃を撃つわけでもなく、ただニヤニヤとしている。



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