誘拐 ―おまえに決めた―
自分からしたくせに、私何言ってるんだろう。
「笑える」
私がやっとのことでそんな憎まれ口を叩いても、リクは全く反応なし。
石像にでもなってしまったようだ。
「もー、面倒くさいなー。過剰に反応しないでよ」
さらに突っ込んでも反応なし。
(こっちも意識しちゃうじゃん)
「ちょっとリク」
どこかの世界へ飛んで行ったリクを呼び戻そうと、ぺちぺちとリクの頬を叩いた。
冷たいと思った頬は思ったより熱くて、少し驚く。
「あ。ああ。ああ」
リクがやっと口を開く。
頬が赤い。
私が強くたたきすぎたのかな?それとも。