誘拐 ―おまえに決めた―
「はあっ、はあっ」
「マイ、大丈夫か」
「大丈夫・・・・・・、じゃない。今度こそ無理」
私の声色で何かを感じ、励ますことをやめたリクは私の足元を見た。
血だらけの私の足。
「ああ、こりゃ無理だな」
「私、もう無理だから。リクだけでも逃げてよ」
ああ、私何言ってんだろう。
なんて言葉が口をついたんだろう。
強盗犯をみすみす逃すなんて。
そんな中、後ろから「金はどこだ!」というトイチの怒号が近づいてくる。
「逃げてよ!!」
私は叫ぶ。