誘拐 ―おまえに決めた―
リクは自分が着る白いオオカミの着ぐるみを引き寄せる。
「文句言わない。仕方ない仕方ない。見つかっちゃうじゃなーい」
おどけて見せるリク。
「じゃなくて、そっちがいい」
私はオオカミの着ぐるみを指さす。
「えー」
「文句言わない」
私がリクの真似して言うと、リクは口を尖らせた。
オオカミの方がかっこいいのに、とかなんとかぶつぶつ言いながら。
だって、ウエディングドレスは白でしょ?
何物にも染まる白。
私自身が何色にも染めることができる白。