誘拐 ―おまえに決めた―

「おい、女。起きろ」



トイチは、私を蹴飛ばし顎をつかむ。



「おまえなんて、本当ならとっとと殺すところなんだがな」

いやらしい目。



「俺らは顔も見られてる。まあ生きて帰られるとは思ってないよな」

アルコールを含んだひどく臭い息。


「だがな。おまえはお嬢様らしいし、父ちゃんに若干の援助をしてもらうまではな。ただ……」

トイチは私の胸に手を伸ばそうとした。


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