誘拐 ―おまえに決めた―

「クルマ、おまえは皆のところに行ってろ」

リクが諭す。


「で、でも

僕らあの大変なことしちゃったし……。

あのあの。

あのピストルだって本物だって知らなくて」



「もういいから。大丈夫だから」

リクがクルマの頭を撫でると、クルマは安心したように笑った。



クルマは一番混乱していて、いつも泣きそうな顔をしている。

人質である私すら心配になる動揺の仕方。


< 47 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop