誘拐 ―おまえに決めた―

そう言いながら、私の位置までしゃがみこむ長身の男。



「殺すんでしょ。こんな状況で笑ってるんじゃね」

心の中で呟く。



もしかしたら、心の中どこかで

それを望んでいるのかもしれない。



この社会に希望が持てない私がつかんだ、最後の希望なのかもしれない。



それもいい、と。


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