天国への階段 ―いじめ―
十二日目
◇天国まであと二十三段
「あー気持ちわるっ」
「お前なんか、ハエ入りのこれで十分だよな」
給食の時間。
いつも通り、ひとりで食べようとすると、麗子たちが来たと思ったら、いきなりガシャンと給食を払い落された。
床にシチューとサラダと苺がぐちゃりと広がる。
かわりに、ハエ入りというシチューを荒々しく置かれる。
こんなの、食べない。
そう言いたいけれど、口が動かない。
声の出し方を忘れたような感覚になる。