19の夏~私の愛した殺人鬼~
もちろん、顔を見ただけで誰かを《悪魔》だと決め付けるようなことはしない。
しかし、《悪魔》と呼ばれるだけの何かがあるはずだった。
二階と三階とひと通り歩きまわっていると、藤堂がだんだんと気力をなくしたような表情になっていくのがわかった。
「なんてなさけない顔してるんだ」
と小声で藤堂のわき腹をつつく。
「新田さん、沙耶香ちゃんいませんよ……」
歩けど歩けど沙耶香の姿は見えない。
藤堂はそのことばかりを気にしているようだ。