19の夏~私の愛した殺人鬼~
「いい気はしないよ。けど山は危ない」
『いい気はしない』連中の心配をするなんて、やっぱり優しい。
そう思い、沙耶香は軽く微笑んだ。
「連絡取ってみたら?」
「え?」
「連絡。携帯持ってるだろ?」
そう言われて、沙耶香は軽く首をふった。
「ないの。昨日の山で落としちゃって」
と、そこまで言って口を閉じた。
それ上の事を言うのは何だか気がひけたのだ。
栗田を妙な事件に巻き込みたくはない。