19の夏~私の愛した殺人鬼~
「言ってくれたら探したのに」
「もういいの。解約しちゃたし」
そもそも、携帯電話を持っていても、幸也たちの番号は知らない。
連絡を取る術はないのだ。
「そう。それよりさ……」
「うん?」
「こんな雨だし」
「うん」
「俺の家、来る?」
……え!?
その瞬間、幸也たちの事が再び頭から吹き飛んだ。
真っ白になった頭の中で、「うん」とだけは、ハッキリと返事をしたのだった――。