たぁ坊とるぅ *32page*
「るぅ、明日9時に駅前ね」
「へ?」
「タオルとスポーツドリンク忘れずにねっ」
「ちょ、ランちゃん?」
週末の気だるさが残る放課後。
今日は雨でミーティングのみだった私たちは、いそいそと帰り支度をしていた。
「明日も部活ないんだって。だからお出かけすんのっ」
「どこに?」
ランちゃんは何も答えないまま、ニカッと白い歯を光らせて手を振る。
「じゃーあっねえ」
走り去ってくランちゃんをほけーっと見送ってると、ポッケの携帯がブーブー鳴った。
「メールだ」
受信フォルダを開けば、今帰ったはずのランちゃんからだった。
“遅刻厳禁!タオルとスポーツドリンク忘れるなよっ”
どこ行くんだろ?
明日も雨みたいだし、室内テニスコートにでも行くのかな?
ブーブーブー
また呆けてたら、もう一通メールが入った。
ランちゃんすぐに返信しないから怒ったかな‥?
ビクビクしながらフォルダを開くと、今度はあいつからだった。
“俺、まだ部活あるから先に帰ってて”
ああ‥あいつは雨、関係ないもんね。
それに対して
“分かった”
と返信すると、間髪入れずに携帯が光った。
“また明日”
ーー‥あ?
何言ってんだこいつ。
明日は休みだし。
そんなことを心の中で突っ込みながら、ゆっくり帰路へとついた。
雨はザーザー激しくて、足元はびちゃびちゃ。
気分は滅入る一方だ。