【続】幼なじみは俺様王子。




「大丈夫か?」


振り返った楓があたしに微笑む。


「……うん。大丈夫。ありがとう」


夏服に変わった楓がシャツ姿。


ネクタイを少し緩めて、開いたボタンの隙間からチラリと見える逞しい胸板。


いつもと同じ、見慣れた姿なのに。


なぜか、ドキドキした。


「全く楓は、すぐにどっか行っちゃうんだもんなぁ」


ベンチに座った瀬川クンが爽やかな笑みを浮かべて言う。


隣にいるあーちゃんは、顔を真っ赤にしてすっかり乙女モードだ。


「えっ、楓いなくなっちゃったの?」


つかさず、あたしが尋ねる。


「俺がトイレ行ってる時突然。慌てて探しちゃったよ」


「あ。でも、確か……」と瀬川クンは続ける。


「トイレに向かう途中に“穂香の声が聞こえる”とか言ってたから、大体の居場所の検討はついたけどね」


楓がそんなことを……?


不思議に思って斜め上を見上げる。




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