僕等の透明な夏
▼前触れ

―ふわっ

顔の横をなにかが掠る。

振り向くと、七色に光る綺麗な蝶々がふわふわと宙を舞っていた。

『あっ、待って!』

羽から落ちる金色の粉を追って、あたしは走った。

『待って!』

その声が届くはずもなく、蝶々はある小屋の前まで行くと青い空に消えていってしまう。

ここ…どこ?

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