♂GAME♀
『ここからなら大丈夫だ』
中林社長の案内で私達は地下の駐車場にある裏口から出してもらった。
ビルの入り口の真逆にある、少し錆びた階段のみが地上に繋がる通路。
ここを使うのは警備員と清掃業者のみだと言う。
案の定、社長がここを使うはずがないと考えるのか、マスコミは誰もいなかった。
『車借りてさ、どっか行くか』
輝は私の手を握りしめ、笑った。
『……うん』
さっきの話を聞きたいけど……
聞かなければいつか輝から話してくれるのかな。
と、期待する自分もいる。
輝だって、どう切り出せばいいか悩んでる所かも知れないし。
『で? どこ行きたい?』
初めて名古屋に来た日のようにレンタカーを借り、市内を走る。
『輝のおすすめでいいよ。 どんな所があるか、わかんないし』
『ん、了解』
ゆっくりと走り出す車。
三車線の広い道が続く。
全然知らない土地なのに、窓の外は見た事のある景色だ。
もしかして、「あそこ」に向かってる?
『ねぇ輝。 もしかして……』
『着くまでのお楽しみ』
ドヤ顔を見せ、また車を走らせる。
だけど間違いない。
私、この道を知ってる。
三車線が二車線に減り、そして……
『やっぱり……』
車を止めたのは、やっぱり前に輝と来た植物園だった。
『まだイルミネーションやってるかな』
まだ空が明るいから、電気はついてないけど……
『始まったばっかじゃん。 春まではやってるよ』
「ね?」と言って笑い、私の手に指を絡ませる。
恋人繋ぎ……
『点灯まで時間あるから、先に飯でも食べよう』
『うん!』
こんな些細な事が嬉しいなんて、相当輝に惚れてるなぁ。