♂GAME♀

出会いは最悪。

こんなにも自己中で我が儘な人間がいるんだろうか……

それが第一印象だった。

でもいつしか、我が儘な程の無邪気さを愛しいとさえ思ってきた。



だからってさぁ……

『いきなり音信不通とか、有り得なくない?』

ドンっと酎ハイの缶をテーブルに置き、目の前の人物に問う。

『僕はそれも想定してたけどね』

目の前の人物……改め、
咲耶はそう言って呆れたように溜め息をついた。

『それより、いきなり電話して呼び付けるなんて…… 出張はやってないんだがね』
『だって暇してたでしょ?』
『……してないよ』


輝が発った頃から、こうして咲耶に近況報告なんてものをしている。

今まで輝といた時間が長かったからか、一人でいると寂しさで不安になる。

このまま、輝に会えなかったら……
そう考えてしまうんだ。


『このまま自然消滅とか有り得そうで恐いよ~』
『はは、あれから3ヶ月だろ? 輝の中でとっくに消滅してたりしてな』

……何つー事を言うんだ。

慰めとか励ましとか、
こいつにそんな優しさは無いのかよ。


音信不通だと言っても、連絡が取れないわけじゃない。

アドレスも変わらないし、メールすれば返ってくる。

ただし、数日後だ。

そのうちに忙しいのに迷惑かなって思って、メールすら躊躇(タメラ)うようになった。


『自由奔放な男を恋人に持つと大変だな』

と、咲耶がからかうように笑ってみせた。

『ってか、咲耶は寂しくないわけ? あんなに輝を追いかけてたくせに』
『ん? 僕?』

この3ヶ月ずっと気になってた。

咲耶は、(仕方無しに)私の愚痴を聞いてくれるけど、自分から輝の近況を聞かない。

輝との連絡も取ろうともしない。

寂しくないのかよって、ずっと思ってたんだ。

『……寂しくは、ないかな』
『え~、超寂しいでしょ』

心にぽっかりと穴が開いたみたいな空虚感。
咲耶も同じだと思ったのに……

『僕の気持ちは、今思うと恋愛感情じゃなかったのかも、ね……』
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