♂GAME♀
『……は?』
恋愛感情じゃないって……
『今さら!?』
『はは、本当に今さらだな』
だって咲耶はずっと輝を追いかけてたって。
私の事ライバルだって。
そう言ってたのに……
『輝が名古屋に行ったくらいからかな。 あの馬鹿はどうしてんだろ、とか』
『あの馬鹿?』
『どうせ不細工な顔して泣いてんだろ、とか』
何だそれ。
話が見えてこないし。
『仕方ないから愚痴でも聞いてやるかな、とか』
……え?
それって……
『そんなふうに毎日、あんたの事思ってたんだ』
ちょ、待った。
それって一体……
『恋愛ってこんなのの延長じゃないのかな?』
と、聞かれましても!!
えーと、つまり?
咲耶は私の事が好きって事?
そんな事って有り得るの!?
『まぁ、僕は綾香とどうこうなる気はないがね』
『へ?』
『僕は基本的に美しいものが好きだ』
って、おい!!
『どんだけ失礼な男だよ!! 私だってイケメンが好きだっての!』
『あ、僕の事かな』
『ちっがーう!!』
何かもう、意味わかんない!
告白かと思って損したよ。
『さて、僕は帰るよ』
あんな事を言った後だというのに、表情ひとつ変えないで立ち上がる咲耶。
『来たばっかなのに?』
何だか意表をつかれた気分。
『これ以上傍にいて、綾香が美しく見えたら嫌だからね』
またしてもからかうような笑顔を見せる。
『わ、私だって咲耶がイケメンに見えたら困るし』
と、仕返しをしてみるけど効果無し。
相変わらず勝ち誇ったような表情だ。
『君に待ってるだけの弱い女は似合わんな。 いっそ追いかけたらどうだ』
『そうしたいのは山々だけど』
『金は貸さんけどな』
最後に意地悪をひとつ残し、咲耶は夜の街に消えていった。
意味わかんない……