♂GAME♀

何時までメールを待っていたのか……
それすらわからない状態での就寝。

開いたままの携帯を片手に床で眠ってしまったみたいだ……



『……香。 綾香……』

誰かが呼ぶ声がする。

まだ眠いのに……

『起きろって』

男の声だ。
咲耶かな……?


『咲耶ーぁ…… まだ寝かせて』

夜中まで起きてたせいで、瞼が重い。
目が開けれないよ。

『誰が咲耶だって?』

……ッ!?

『えぇ!!!?』

この声、まさか!!

『いつの間に咲耶とそんな関係になったんかな?』
『ひ、輝!!?』

今まで開けれなかったのが嘘のように瞼が軽くなる。

まさか、こんな事って、

『どうゆう事かな、綾香さん』

グイッと頬を抓られ、完全に目が覚めた。

『ひ……輝だぁ』

何だかよくわからないけど、目の前に輝がいる。

それだけで泣きそうになるよ。

『寝台特急使ってまで来たけど、俺は不要だったかな』
『い、いえいえ! 必要であります!!』

警察官の敬礼みたいに額に手を当てる。

すると輝が満面の笑みを見せてくれた。


『やっと1日休みが出たんだ。 夕方には帰るけど』
『え~! 泊まっていかないの~?』

せっかく会えたのに数時間しかいられないなんて嫌だよ……

『明日の朝には会社にいないと駄目なんだよなぁ』
『そんなぁ……』

落ち込む私を見てなのか、輝がまた笑う。

そしてギュッと抱きしめてくれた。

『綾香がかわい~く頼むなら、帰りも夜中の寝台でいいけどね』
『か、可愛いく……?』

そんな事言われても困る。

可愛い自分なんて想像できないし。

『……嘘だよ。 最初から寝台の切符買ってるよ』
『え?』
『せっかく会えたのにすぐ帰るなんて、俺だって嫌だしね』

駄目だ。
涙が出る。

我慢出来ないよ……

『輝……寂しかったよ……』

ずっと寂しかった。
輝に会いたかったよ。

やっぱり私、輝の傍に行きたいよ……
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