BLUE SAVE FORCE
少年
高校生活というものに特に期待はしていなかった
たまたま志望校に受かった悠は、そのあと次なる目標を見いだせず
ただ抜け殻のように毎日教室の窓から校庭を眺めていた。

五月というのはそれまでの悠にとって大好きな時期だった。
しかしいま自分とは無関係と思っていた五月病がリアルに感じられて仕方がなかった。

悠は15歳にしては背も高く
少々大人びて見える
しかし運動ときたらからっきしダメで
そのことを特にコンプレックスとしてまではいなかったが
彼はなんとなくクラスでの人気が自分に向かないことに少々苛立ちを感じていた

ヒーローになりたい
そんな願望を持つのは悠の歳ではごく当たり前だが
クラスの女子たちが自分の隣の席の男子を取り囲むように楽しそうに話しているのを聞くと少々腹立たしく感じられた。

ヒーローになりたい
とあるクラスメイトの言葉「一生懸命勉強して一流大学に入って一流企業に入ればそれでヒーローだ」のアドバイスもなんとなくリアリティを感じない。

ヒーローになりたい
目立ちたいといった気持ちをはちきれんばかりに膨らませて
その結果情緒不安定になり
CDショップで万引きして停学になった奴
入学した時は友達になれそうだったが今は彼にかかわるまいと思っている
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