ボクは誰?

終業式の後

「ねえ。有希は夏休みの予定、あるの?」


「特にないな。どうせお盆休みに、田舎に行く程度だよ。」


「田舎、いいなぁ。私、田舎がないの。」


「何で?」


「両親とも地元なの。祖父母の家は、どっちも近所なの。」


「珍しいもんだな。ボクは毎年田舎に行くのがすっげぇ嫌なんだけど。」


「有希の田舎って、どんなとこ?」


「川も山も海もある。どこも徒歩で行ける距離だよ。だからボクが子供の頃は、虫取りしたり、海水浴したりしたよ。今は何もおもしろくないから、行きたくないんだよな。」


「いいなー。」


ポツリと言う史佳を見ていたら、

名案を思いついた。


「史佳、ボクの田舎に一緒に来る?」


「え?いいの?行きたいっ!」


「じゃあ一緒に行こうか!」


超嬉しい。

夏休みは、

ずっと会えないと思っていたのに、

会えるだけじゃなく、

一緒に出かけられる。


田舎には大抵一週間いるから、

ボクは、

史佳と一週間も一緒にいられる。



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