ボクは誰?
「きゃー!有希!」


史佳の声を聞いて、

背後の気配にぞっとした。


「有希。何で絵美を殴ったの?殴られた絵美だって痛かったのに、どうして雅史の相手しかしてくれないの?」


ゆっくりと振り向いた。

さっき落としたカッターナイフを、

再び持って立ってる絵美がいた。



声は穏やかではあるけれど、

表情は憎しみだけだった。


「絵美。人を傷つけるのだけはやめろ。もし傷つけたいのなら、ボクだけにすればいいだろ?史佳も晃も雅史も、もう傷つけたり苦しめたりするな。だからこの三人は外に出てもいいだろ?ボクだけがいればいいだろ?」


「…。」





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