ボクは誰?

バカ…

大貴との会話から、

数日が経過した。

相変わらずボクは、

空手の稽古に明け暮れた。



疲れて帰宅したら、

ボクの携帯が鳴った。

この着信音は史佳だ。

電話に出るか、

そのまま放置するか悩んだ。

悩んだ結果、

電話に出た。


「もしもし。」


返事がない。


「史佳だろ?どうかした?」


返事はやはりなかった。

でも、

よく耳をすますと、

史佳が泣いているのが聞こえた。


「史佳、何があった?」


「有希のバカ。」


「え?」


「約束してくれたのに。ずっとそばにいるって、約束してくれたのに。何で約束を破るの?」


そうだった。

ボクは、

史佳を守るために騎士になって、

図書館や本屋での時間潰しに、

毎日付き合うって約束したんだった。


「史佳、ごめん。」


「私、すっごく淋しかったんだから。電話しても出てくれないし、メールしても返事をくれないし。すっごく淋しかったんだから。」


そう話す、

史佳の声を聞いていたら、

今すぐ飛んでって、

抱きしめたくなった。




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