不器用なシタゴコロ
「…うーん、風が気持ちいー」
お店を出た私たちは。
昼間のモワモワした空気とは違う。
サラサラとした気持ちのいい風に当たりながら、ゆっくりと歩いていた。
その風は“酔い醒まし”なんていうにはもったいないくらい気持ち良くて。
お酒で火照った肌に心地よく肌を滑っていく。
…風は気持ちいいけど。
腑に落ちないことがひとつ…。
「今回は出させて、出すから」
「デートなんだからカッコつけさせてよ」
「そう言ってこの間も出してもらっちゃったでしょ!!」
「…そうだっけ?」
とぼけるとーやクンに。
若干のイラつきを感じる私。
…そんな私に気付いてるのか、いないのか。
「お、ブランコ発見」
そう言って。
とーやクンは小さな公園へと入っていった。