不器用なシタゴコロ
その視線から逃れたくて目を逸らそうとするけれど。
私を見上げるとーやクンの瞳は。
それを許してくれない。
「…ど、どーした、の…?かなり、酔ってるみたい、だね…?」
「…酔ってる、よ」
「……ッ…!!」
片手は私の腕を掴んだまま。
空いている方の手の指先でそっと、私の頬に触れてきた。
月明かりと外灯に透ける柔らかそうな髪。
私の中身を射ぬくように見据える瞳。
薄らと開かれた薄い唇。
お酒のせいか、ほんのり赤く染まった首筋。
シャツがはだけて見え隠れする鎖骨。
それだけでも。
全身が“バクバク”と…全力疾走した後のように脈を打つのに。
頬に触れていたとーやクンの指先が。
ゆっくりと私の首筋をなぞるように降りてきた。