不器用なシタゴコロ

ブランコに座るとーやクンとの間に。

まるで引力が働いているかのように。

…吸い寄せられるように近づいた。





グイッ。





「…わ…っ」





とーやクンに腕を引っ張られると。

足の間に立たされ、私ととーやクンとの距離が“グッ”と縮まった。





「…“単語”じゃ意味がない。“想い”をのせてそれが伝わらなきゃ…」





腕は掴んだまま。

とーやクンは言葉を続け、私を見上げる。





「…ッ…!!」





前髪から透けて見える切れ長の瞳は。

何かを訴えかけるかのように私を捕えて離さない。





“ドクッ、ドクッ”

心臓が大きく音を立てる。

お酒のせいなんかじゃない。

体が熱い…。



 

< 130 / 340 >

この作品をシェア

pagetop