不器用なシタゴコロ
『…同じチーフだし、フツーに話すよ?』
今日1日を思い返してみても。
別に変わったことはない。
「それだけ?」
『…他になにがあるの?』
「…“柚っち”とか呼ばれてたじゃん。
柚も“スガチャン”とか呼んでるし…」
ちょっと不機嫌そうに。
一束掴んだ髪を弄びながら。
彼はブツブツと言葉を繋げた。
「…俺なんて“クン”付けなのに」
そう小さく呟いた彼が。
背中の向こうで動いたのがわかった。
…呼び方って…。
それを言うなら、アナタもだよ…?
ずっと“ゆずサン”って呼んでたのに。
いきなり“柚”なんて呼び捨てされたら。
勘違いしちゃうじゃない…。
私は。
手に持ったビールの残りを“グイッ”と飲み干すと。
大きく息を吐きだした。