不器用なシタゴコロ
その時。
視界に入った彼の足の位置が。
さっきと変わっていることに気付いた。
…気付いてよかったのか。
気付かなきゃよかったのかはわからないけど…。
背中には寄り掛かってる黒いソファー。
それは変わってない。
でも。
いつの間にか私は。
彼の足の間に挟まれるようにして座っていた。
なんで、コレ?!
さっき背中の向こうで動いてたのはコレ?!
“危険”だからって。
隣に座らないで床に座ったのに。
これじゃ意味ナイ…ッ。
「名前、呼んでよ」
『はッ?!』
頭の上から聞こえる声に。
心臓が跳ね上がる。
「俺の名前。知らないワケじゃないデショ?」
『そ、それは…ッ?!』
“なんて呼んでいいかわからない”
そう、本音を漏らそうとした瞬間。
「呼んでよ。
…じゃなきゃ誰の名前も呼ばせない」
“グイッ”という首の違和感と一緒に。
頭の上で聞こえていた声が顔の目の前に降ってきた。