不器用なシタゴコロ

その曲のイントロに合わせて。

ステージ端からマイクを持ったとーやクンが出てくる。





「―ついてこいよーッ!!…“instinct”!!」





マイクを通してとーやクンの声が響き渡ると。

場内には。

また大きな歓声が上がった。













「―よくドラム叩きながらスティック回せんな、亮…」

「慣れだよ、慣れ」

「俺、ギター持ってターンしたし」

「…よろけてたけどな…」

「…うっせ」





“instinct”が終わって。

それぞれがマイクを持って話しだす。





同じ曲をCDで何度も聴いてるのに。

歌ってる人が違うだけで違う曲に聞こえてくるから不思議だ。





「―あれ?モモ?どした?」





ミズキクンの声に。

ステージ端を見ると。

とーやクンが座り込んでいた。



 

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