不器用なシタゴコロ

ひょっとして。

具合悪くなったとか…?

大丈夫かな…。





同じことを感じた人もいるらしく。

騒つき始める場内に。

…とーやクンが呟いた。





「―何あの歌詞。…エロくね?」





立ち上がったとーやクンに。

ミズキクンがキックする。





「―そのエロい曲書いたの誰だよ。…はい、せーのッ!!」

「「モモ」」

「結構ノリノリだったじゃんねぇ。
フリまでつけてくれたし」

「もっかいやってよ、“狂わせて、その甘い唇に”のとこ」

「あ、俺“1回だけじゃ収まらない”のとこ」

「じゃあ俺は“持ち上げ…」

「やんねぇっつーのッ!!」





ここからだからわかる。

口元を左手で覆って。

ほんのり頬を染めるとーやクンの顔。



その顔は。

まだとーやクンとモモクンが同じ人だって知らなかった頃に見た。

テレくさそうな顔と同じだった。



 

< 240 / 340 >

この作品をシェア

pagetop