不器用なシタゴコロ
ひょっとして。
具合悪くなったとか…?
大丈夫かな…。
同じことを感じた人もいるらしく。
騒つき始める場内に。
…とーやクンが呟いた。
「―何あの歌詞。…エロくね?」
立ち上がったとーやクンに。
ミズキクンがキックする。
「―そのエロい曲書いたの誰だよ。…はい、せーのッ!!」
「「モモ」」
「結構ノリノリだったじゃんねぇ。
フリまでつけてくれたし」
「もっかいやってよ、“狂わせて、その甘い唇に”のとこ」
「あ、俺“1回だけじゃ収まらない”のとこ」
「じゃあ俺は“持ち上げ…」
「やんねぇっつーのッ!!」
ここからだからわかる。
口元を左手で覆って。
ほんのり頬を染めるとーやクンの顔。
その顔は。
まだとーやクンとモモクンが同じ人だって知らなかった頃に見た。
テレくさそうな顔と同じだった。