不器用なシタゴコロ
「―シングルにもアルバムにもしない。だから結構軽いノリで作ったのに。
メンバーみんなその曲気に入っちゃってさ。
でも俺的には軽いノリだったからイヤだっつったんだ」
そこでとーやクンはひとつため息を吐いて。
少し遠くを見るように。
またポツリポツリと話しだした。
「―かなり揉めたんだよ。
そしたらM氏がキレて“その猫飼えなかったらコレでいく!!”とか言い出して。
その時には俺も売り言葉に買い言葉。
“おーよ、やってやらぁ!!”みたいな」
思い出したのか少し笑うとーやクン。
「―まぁ、あの手この手でどうにか懐いてくれてうかれてたら。
…ライブ前に嫌われて引っ掛かれた。
そりゃそうだよな〜。
飼えるかどうか、賭けてたんだから」
そこまで言って立ち上がったとーやクンは。
自分の立ち位置…。
私がいるほうのステージサイドに来た。