不器用なシタゴコロ
「―な〜んかしんみりしちゃってんね〜」
「MCヘタだな、モモは」
「この雰囲気であの歌歌ってヘーキかよ…」
いつの間に戻ってきたのか。
ステージにはさっきと変わらず。
スティックをクルクル回すケイチャンに、ベースを鳴らす亮チャン。
ギターをセッティングするミズキクンがいた。
「―なんか今日俺弄られてねぇ?」
「…まぁ、気にすんな」
ポンッ。
とーやクンの肩を叩いて定位置に着くケイチャン。
「―さて。
モモがしんみりさせちゃったこの空気。
吹き飛ばしてもう1曲行くぜ〜!!」
ミズキクンの声に合わせて揺れる場内。
その空気に乗っかるように。
とーやクンが叫んだ。
「―ついてこいよーッ?
もう絶対歌わねぇからな!!
…“脳内LOVE”…ッ!!」