不器用なシタゴコロ

「―な〜んかしんみりしちゃってんね〜」

「MCヘタだな、モモは」

「この雰囲気であの歌歌ってヘーキかよ…」





いつの間に戻ってきたのか。

ステージにはさっきと変わらず。

スティックをクルクル回すケイチャンに、ベースを鳴らす亮チャン。

ギターをセッティングするミズキクンがいた。





「―なんか今日俺弄られてねぇ?」

「…まぁ、気にすんな」





ポンッ。

とーやクンの肩を叩いて定位置に着くケイチャン。





「―さて。
モモがしんみりさせちゃったこの空気。
吹き飛ばしてもう1曲行くぜ〜!!」





ミズキクンの声に合わせて揺れる場内。

その空気に乗っかるように。

とーやクンが叫んだ。





「―ついてこいよーッ?
もう絶対歌わねぇからな!!
…“脳内LOVE”…ッ!!」



 

< 244 / 340 >

この作品をシェア

pagetop