不器用なシタゴコロ
シャッターの閉まった軒下にお邪魔すると。
傘を閉じてバッグからケータイを取り出した。
その時。
私のいる軒下にもう1人、駆け込んできた。
「…冷て…」
駆け込んできたのは男の人。
髪も服も濡れていた。
走って、きたのかな…。
そして彼も。
雨に濡れたジーンズのポケットからケータイを取り出すと。
カチカチといじりだした。
知らない人の近くにいるのは苦手。
…でも。
真横にいるわけじゃないし。
気にすることないか…。
私も沙保にメールを送信した。
【ちょっと遅れそう。今向かってるから】
手短に一言。
そう送信するとケータイを閉じてバッグにしまった。
…さて、急ぐかな…。
時間に遅れてるし。
知らない男の人が隣にいる気まずさからも逃げ出したくて。
立て掛けておいた傘に手を伸ばした。