不器用なシタゴコロ
「…雨…」
隣の男の人が何かを言ったように感じた。
え?
独り言?
…なんか、怖いんだけど…。
横目で男の人を見ると。
ケータイを持ったまま空を見上げてた。
…ヤダヤダ、やっぱ怖い。
早く行こ…。
「…雨、早く止むといっすね」
今度ははっきり聞こえた。
傘を開こうとした手を止めて隣を見た。
見ると。
男の人は。
こっちを見て微笑んでいた。
…カ、カワイイんですけど…。
トクン、と小さく胸の奥が跳ねる。
男の人に“カワイイ”なんて失礼だけど。
ホントにカワイイ。
長めでサラサラしてる。
柔らかな茶色の前髪から覗く切れ長二重の瞳。
柔らかくカーブを描く口元。
背が高いから女の子とは間違えられないと思うけど。
メイクしたら勘違いされちゃうかも。
そんな風貌。
目を奪われた。