君がいたから
死にたがりの少女
あれは暑い夏の夜だった。

いつもは散歩なんてしないのに、この日は気まぐれで散歩になんか出かけたんだ。

都会でもなく、かといって田舎ともいえないこの町の夜は静かだ。少しずつ住宅からはなれ、気が付いたら丘にいた。心地よい風が吹いていて、居心地が良い。少し休憩して星でも眺めようと思ったときだった。

誰かいる。

立っていて、後ろ姿を見る限り、大人には見えない。髪はショートカット。たぶん俺よりも小さくて小柄。女の子のような男の子のような……。でも先客がいるならよそうか、とも思ったが、もし女の子で一人だったら注意したほうがいいだろう。もう夜の十時になるところだ。俺はそっと近寄り声をかけた。

「何してるの?」

 
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